MEDICINE BLOG & 海外医薬ニュース・パイロット・プロジェクト

海外で開発・販売されている薬に関するニュースを週末に発信します。

海外医薬品ニュース週末版 2012年5月13日号

(リンク先は殆どが英文です。改行で切れてしまう場合があります)

ニュース・ヘッドライン

  • ロシュがCETP阻害剤の開発を中止
  • FDAの諮問委員会がJAK阻害剤などの承認を支持、痛風用薬は駄目
  • セル・セラピュティクスの抗癌剤がEUで承認
  • グーグルの共同創立者がパーキンソン病の研究に巨額拠出

新薬開発

ロシュがCETP阻害剤の開発を中止

ロシュは日本たばこ(JT)から導入したCETP阻害剤、dalcetrapib(RG1658/JTT-705)の開発を中止した。第三相アウトカム試験の第二次中間解析で無益性が認定されたため。

CETP阻害剤は善玉コレステロールであるHDL-Cを長持ちさせる効果を持ち、数値が大きく増加する。ところが、ファイザーがtorcetrapibで大規模なアウトカム試験を実施したが、同じく無益性で中止になった。それどころか、心血管疾患や死亡者が増加した。

dalcetrapibやMSDのanacetrapib(MK-0859)は血圧やコルチゾール値を上げる副作用を持たないため安全性面での懸念は小さかったが、前者は仮説立証に失敗した。

「CETP阻害剤は善玉コレステロール増加を通じて血管アテローム部位のコレステロール・エステルを減らし、心筋梗塞などのリスクを削減する」という仮説である。

anacetrapibやイーライリリーが第三相試験の準備を進めているevacetrapib(LY-2484595)はHDL-Cを増やす効果がdalcetrapibよりかなり高く、また、スタチンに匹敵するLDL-C削減効果を持っている。

従って、dalcetrapibと同列に論じることはできないが、似たような薬が相次いで失敗したことを考えれば、楽観できないのではないだろうか。

リンク:
ロシュのプレスリリース

JTの和文プレスリリース(pdfファイル)

MEDICINE BLOGの2007年の記事
torcetrapib(トルセトラピブ)の謎

torcetrapib(トルセトラピブ)とは

承認申請・承認

FDAの諮問委員会がJAK阻害剤などの承認を支持、痛風用薬は駄目

先週はFDAの諮問委員会が多く開催された。過半の委員の支持を受けたのが、ファイザーのリウマチ性関節炎治療薬tofacitinib、アリーナ/エーザイの体重管理薬lorcaserin、ギリアッドのHIV/AIDS治療用四剤配合剤Quadだ。

ギリアッドのHIV/AIDS治療薬Truvada(和名ツルバダ)を予防に用いる新用法も支持された。一方で、リジェネロンのIL-1拮抗剤rilonaceptを痛風尿酸降下療法時のフレア予防に用いる適応拡大は全員が反対した。

ファイザーのtofacitinibは、インターロイキンの受容体のシグナル伝達に関わるチロシンキナーゼであるJAKを阻害する画期的新薬。臨床検査値に与える影響は中外製薬の抗IL-6受容体抗体、アクテムラ(トシリズマブ)と類似している。経口剤。

臨床試験では癌や深刻な感染症の発生率が対照群よりやや高く、投与量や投与期間との関連性も疑われた。このため、承認が危ぶまれたが、諮問委員会では便益がリスクを上回ると回答した委員が8人、下回るとの回答は2人だけだった。順調なら今年8月に承認されることになる。

リンク: ファイザーのプレスリリース

アリーナ・ファーマシューティカルズ(NASDAQ: ARNA)は2009年12月に体重管理薬lorcaserinを承認申請、翌年にはエーザイと開発販売提携を結んだ。

しかし、FDAは承認しなかった。心血管安全性懸念や動物試験で癌原性のシグナルが見られたことなどが理由のようだ。

同社は追加的な試験や分析を実施して2012年1月にFDAに提出した。懸念が薄れた模様であり、諮問委員会では23人の委員のうち18人が承認を支持、反対4人や棄権1人を大きく上回った。

ヴィーヴァス社の体重管理用コンビ薬も同じような経過を辿っており、この領域全体に承認のハードルが極めて高い状態からやや高い状態に下がったようだ。

もっとも、lorcaserinの治療効果は決して高くない。治験の平均治療効果(偽薬群との差)は3%程度であり、体重100kgの患者が生活習慣改善で2kg痩せるとすると、lorcaserinを併用しても5kg痩せるだけである。

BMI値と心血管リスクの相関性は単純比例ではなく、一定水準を超えると加速的にリスクが上昇する。高度肥満の患者は3%の減量でも意味があるだろうが、それ以外の肥満症に対する臨床的便益は明確ではない。

順調なら6月27日までに承認されることになるが、FDAは市販後に心血管アウトカム試験を実施するよう求めるだろう。

米国では成人の3分の2以上が肥満又は太り過ぎ(オーバーウェイト)とされるので体重管理薬の潜在市場は極めて大きいが、ニーズに応えられるかどうかは、アウトカム試験の結果次第だろう。

尚、エーザイ提携は当初は米国市場だけだったが、米州20ヶ国に拡大したことが発表された。

リンク:
アリーナ社/エーザイのプレスリリース

エーザイの和文プレスリリース

ギリアッドはHIV/AIDS治療薬の開発に積極的に取り組むと同時に、複数の活性成分を配合したコンビ薬も次々と開発、BMS/MSDと提携して2006年にAtriplaを、J&Jと提携して2011年にCompleraを発売した。

諮問委員会では、JTからライセンスしたインテグレーズ阻害剤、elvitegravirなど四剤を配合したQuadを、初めて多剤併用療法を受けるナイーブ患者に用いることが13人対1人の多数で支持された。上記二剤と同様に、一日一回一錠の服用で済むので簡便だ。

順調なら8月27日までに承認されることになる。

インテグレーズ阻害剤はHIVの遺伝子が宿主細胞の遺伝子に紛れ込む過程を阻害する。ファースト・イン・クラスはMSDのIsentress(和名アイセントレス)。抗HIV薬の中では比較的忍容性に優れるので、将来的に第一選択薬になる可能性がありそうだ。

Quadは他にcobicistat、emtricitabine、tenofovir disoproxil fumarateを配合している。cobicistatは新開発の3A4阻害剤で、elvitegravirの代謝を遅らせて作用を持続させる。

リンク: ギリアッドのプレスリリース

TruvadaはQuadの四剤のうち、emtricitabineとtenofovir disoproxil fumarateの逆転写阻害剤二剤の合剤で米国では2001年にHIV/AIDS治療薬として発売された。

性的感染リスクが高い患者を組入れたHIV/AIDS感染予防試験が成功、適応拡大申請された。諮問委員会では、男性と性交する男の予防用途に関して22人中19人が承認に賛成。感染者と性交する非感染者向けも19人が賛成。

それ以外の高リスクな人向けは12人が賛成した。順調なら6月15日までに承認されることになる。

抗HIV薬を感染予防に使うのは四つの難問がある。第一は、既に感染していた場合に、Truvadaは二剤併用なので治療には十分な効果がなく、抵抗性変異が生じる可能性が高いことだ。事前に十分に検査する必要がある。

第二は、言うまでも無く、副作用だ。第三は油断。他の感染予防策を怠るかもしれない。第四は価格。年1.4万ドルの薬代を誰が負担するのか?様々な難しい問題を抱えている。

リンク:ギリアッドのプレスリリース

一方、リジェネロン(NASDAQ: REGN)のArcalyst(rilonacept)の適応拡大は全員が反対した。CIAS1変異関連自己炎症定期的症候群の治療薬として既に承認されている薬だが、新用途は患者数が多く、効果もそれほど大きくないため、便益とリスクが釣り合わないと判定された。

この新用途は、痛風患者の尿酸降下療法に付随するフレア(痛風症状の増悪・・・結晶化した尿酸が溶解して血液中に入り込むことが原因と推測されている)を防ぐというもの。16週間の治験では回数が7割以上減少した。

一方で、癌や深刻な心臓疾患が偽薬群より多く発生した。16週間で癌になるとは考えられないが、心臓疾患リスクは懸念材料である。現実の医療では16週より長く投与を続ける可能性があるので、もっと増える可能性もある。

予防薬は治療薬より高い忍容性が求められる。承認審査期限は6月30日だが、承認されない可能性が高まった。

リンク:リジェネロンのプレスリリース


セル・セラピュティクスの抗癌剤がEUで承認

EUで、セル・セラピュティクスのアンスラサイクリン系抗癌剤Pixuvri(pixantrone)を再発性・難治性アグレッシブ非ホジキン型リンパ腫に用いることが承認された。

米国では3年前に承認申請したが承認されず、再申請も撤回となり、難航している。米国の敵をEUで討った格好だ。

リンク: セル・セラピュティクスのプレスリリース

トピック

グーグルの共同創立者がパーキンソン病の研究に巨額拠出

グーグルの共同創立者であるSergey Brin(38歳)はパーキンソン病の研究のためにマイケル・J・フォックス財団を通じて1.3億ドルの拠出を行っている。ブルンバーグが報じた。

パーキンソン病の患者の一部はLLRK2という遺伝子多型を持っている。Brin氏は、若くして発症した母親と同様に、この多型を保有している由であり、これが巨額拠出の動機であるようだ。

米国では企業や個人の寄付活動が活発で、例えば他国で自然災害が発生した場合、国の拠出は他の国より少ないがそれを補って余りあるほど民間が義捐金を出す。今回のエピソードは、病気の解明や治療法の開発でも富豪の寄付が重要な資金源になりうることを示している。

尚、フォックス財団は映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」の主演で一躍有名になり、その後パーキンソン病を発病した映画俳優が創立した財団で、研究者や治療薬開発企業に助成金を出している。

リンク:ブルンバーグの記事


今週は以上です。

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[ 2012/05/13 19:26 ] 臨床試験 | TB(0) | CM(0)

海外医薬品ニュース週末版 2012年5月6日号

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ニュース・ヘッドライン

  • アクテリオンの第三相アウトカム試験が成功
  • J&Jが米国でイグザレルトを静脈血栓塞栓治療に適応拡大申請
  • ニンジン細胞培養による希少疾患用薬が米国で初承認
  • アボットが腎臓学領域のパイプラインを買収
  • BG-12のロイヤルティ権利をロイヤルティ・ファーマが買収
  • GSKはアストラゼネカの買収に興味が無い
  • カナダでレブラミドのドクターレター

新薬開発

アクテリオンの第三相アウトカム試験が成功


スイスのアクテリオン(SIX: ATLN)はエンドセリンA/B受容体拮抗剤ACT-064992(macitentan)の第三相肺高血圧症試験が成功したと発表した。 偽薬、3mg、10mgの三群に無作為化割付して疾病悪化・死亡リスクを比較したところ、3mg群は偽薬群より30%、10mgは45%、低かった。


肺高血圧症治療薬の第三相試験は、同社のTracleer(bosentan;和名トラクリア)を含めて、6分間歩行テストや症状スコアを用いて薬効評価することが多い。macitentanの開発が画期的なのはアウトカム試験を行ったことだ。Tracleerの後継薬となるべきmacitentanに強力なエビデンス、セールスポイントを与えるために、ハイリスク・ハイリターン型の第三相試験に踏み切ったのである。それだけに、開発成功はサプライズであり、価値が高い。


Tracleerと比べて受容体結合の持続性や組織移行性が高く、一日一回の服用で足りる。末梢浮腫や肝機能検査値異常のリスクも小さい模様であり、第三相試験の発生率は偽薬並みだった。安全性面でも競争力がありそうだ。


リンク:アクテリオンのプレスリリース

【承認申請・承認

J&Jが米国でイグザレルトを静脈血栓塞栓治療に適応拡大申請


Xa阻害剤Xarelto(rivaroxaban;和名イグザレルト)は様々な用途で開発されていて、米国では関節手術後の静脈血栓塞栓予防と心房細動患者の脳卒中予防で承認、急性冠症候群の再発予防で承認審査中だが、新たに、静脈血栓塞栓の治療用途で承認申請された。


バイエルから米国の開発販売権を取得したJ&Jが申請したもの。臨床試験では、当初はヘパリン、その後はワルファリンを用いた群と再発リスクや安全性が同程度だった。


経口抗血栓薬の市場性は高リスク心房細動患者向けが一番大きいが、二番目は静脈血栓塞栓治療だ。急性冠症候群も大きいが治験で多剤併用による出血リスクが見られたので、承認も普及も不透明だ。それだけに、今回の用途は重要である。


リンク:J&Jのプレスリリース



ニンジン細胞培養による希少疾患用薬が米国で初承認


イスラエルのProtalix BioTherapeutics(NYSE-AMEX:PLX、TASE:PLX)がファイザーと共に開発したI型ゴーシェ病治療薬、Elelyso(taliglucerase alfa)が米国で承認された。この希少疾患はライソゾームの糖脂質分解酵素、グルコセレブロシダーゼの不足が原因で肝脾腫、貧血、易出血、骨疾患などを発症する。


代表的な治療薬であるジェンザイム(サノフィ・アベンティスの子会社)のCerezymeは、この酵素の遺伝子をチャイニー・ズハムスター卵巣細胞に組込んで生産させたもの。シャイアのVPRIVはヒト細胞に組込み・生産させたものだ。一方、Elelysoはニンジン細胞を使っている点が画期的。遺伝子組換え薬の特許は培養細胞に関するものが多いので、他社の特許を侵害せずに類似した薬を開発できる可能性がある。


Cerezymeは年20万ドルの高価な薬だが、Protalixは25%低い価格で販売する予定。ジェンザイムと同様に、民間医療保険加入者の自己負担を肩代わりし、未加入者には値引きする計画。Cerezymeは品質管理問題が発生し供給不足状態にある。Protalixは24ヶ月分の在庫を維持することで安定供給を確保する考えだ。


リンク:FDAのプレスリリース


Protalix・ファイザーのプレスリリース

製薬会社の動き

アボットが腎臓学領域のパイプラインを買収


アボットはデンマークのAction Pharma A/Sからメラノコルチン受容体アゴニストAP214の権利を完全買収することを発表した。代価は1.1億ドルで、Zealand Pharmaに一桁台前半の売上ロイヤルティを負う以外は後発債務は無い。AP214はZealandのペプチド至適化技術を用いて開発されたαメラニン形成細胞刺激ホルモン誘導体。虚血時の炎症反応やアポトーシスを緩和する作用がある模様だ。


後期第二相段階で、一本目の結果は昨年のRenal Week(米国腎臓学会)のlate-breakerで発表された。抄録によると、オンポンプ心臓手術を受ける急性腎障害のリスクが高い患者77人を偽薬、600mcg、800mcgの三群に割付けて、施術前後に三回に分けてivボラス投与した。各群の90日死亡・罹患(透析施行や腎機能低下)発生率はそれぞれ58%、24%、35%となり、二用量とも大きなリスク削減効果を示した。高用量群はGFR(腎濾過率)や急性腎障害リスクも有意に優れていた


データの割には安い買い物だ。おそらく、何か弱点があるのだろう。そもそも、この試験は後期第二相と呼ぶには症例が少ない。普通なら後期第二相の次は第三相だが、アボットは二本目の後期第二相試験を年内に開始する予定。


リンク:アボットのプレスリリース


2011年Renal Week抄録(pdfファイル) ・・・D. Steinbrucheら(LB-P03172、第9B頁)


BG-12のロイヤルティ権利をロイヤルティ・ファーマが買収


バイオジェン・アイデックが承認申請した多発性硬化症薬に係わる権利を米国のロイヤルティ・ファーマ社が7.6億ドルで買収した。


ロイヤルティ・ファーマ社のビジネスモデルは、開発中・上市済みの新薬に係わるロイヤルティ権や達成報奨金権を買収することだ。取引相手の企業や大学は将来の収入を今日の研究資金に代えることができる。一方、ロイヤルティ・ファーマは新薬の将来性を適切に評価することによって、買収額を上回る収入を得ることが期待できる。


これまでに、HumiraやNeulastaやRemicade、Lyricaなどに係わる権利を買収した。2011年にはアステラス製薬からDPP-4阻害剤に関する特許を6億ドルで買収している。このDPP-4阻害剤の特許は元々はポセイドンという新興企業が持っていたが、抗癌剤タルシバを開発したOSI社が糖尿病薬に進出するために買収、その後、OSIを買収したアステラスがおそらく投資資金の一部を回収するために売却した経緯がある。


このエピソードを見ても分かるように、企業買収の活発化はロイヤルティ・ファーマには追い風だ。


今回のBG-12(dimethyl fumarate)はスイスのフマファーム社を買収して入手したもの。今年2月に承認申請された。再発寛解型多発性硬化症の再発を防ぐ効果が高く、また、経口投与できる。免疫抑制作用が小さいため、ジレニアのような日和見感染リスクを持たない。心血管副作用も小さい。肝毒性が懸念されたが、第三相試験では大きな問題はなかった模様だ。紅潮や胃腸系副作用の発生率が高いが深刻ではなさそうだ。


フマファームの株主は年商が一定水準を超えた場合に達成報奨金をバイオジェン・アイデックから貰うことができる。ロイヤルティ・ファーマはこの権利を買収した。年商が30億ドルを超えれば累計で9億ドル程度に達するはずなので、十分ペイしそうだ。


リンク:ロイヤルティ・ファーマのプレスリリース(pdfファイル)


GSKはアストラゼネカの買収に興味が無い


グラクソ・スミスクライン(GSK)のCEOであるAndrew Wittyは、年次株主総会で、アストラゼネカを買収する考えが無いことを明らかにした。Economic Timesなどが報じた。


既報のように、GSKはヒューマン・ジノム・サイエンス(NASDAQ:HGSI)に買収オファーを行ったが、価格が低すぎると断られた。一方、アストラゼネカはCEOのDavid Brennanの退任が発表されたところであり、タイミングとしては買収を仕掛け易い。そこで、株主総会に出席した投資家が買収するならアストラゼネカの方が良いのではないかと尋ねたが、Wittyは、巨大買収はdistracting(集中の妨げになる)と語った。


製薬業界では2000年前後に巨大買収・合併が相次いだが、今日では、問題解決にはならないという声が少なくない。シェアが上昇しても他社が同様に巨大買収を行ったら優位性を失ってしまう。そもそも、知的所有権という参入障壁を持つR&D型製薬業界では、市場全体のシェアが上昇してもストレートに市場支配力が高まるわけではない。結局、重複事業の整理や人員削減、購買力強化などコスト削減効果しか生めない。筆者にも経験があるが、組織統合に費やすエネルギーは大きく、人心の乱れを生み易い。


勿論、大型薬の特許切れを控える企業の苦肉の策としての重要性は今日でも明らかであり、MSDはシェリング・プラウを、ファイザーはワイスを買収した。GSKの場合はグラクソ・ウエルカムとスミスクライン・ビーチャムが合併した時の苦労がよほど大きかったのか、これまでも大型買収に否定的な考えを示している。


リンク:Economic Times

医薬品の安全性

カナダでレブラミドのドクターレター


ヘルス・カナダ(カナダの厚生省)は、セルジーンがRevlimid(lenalidomide;和名レブラミド)の二次性原発性悪性腫瘍リスクに関するドクター・レターを発出したと発表した。


Revlimidはサリドマイド類縁体で再発性多発骨髄腫などに承認されている。複数の一次治療試験が行われ、優れた疾病抑制効果が明らかになったが、意外なことに、二次性原発性悪性腫瘍が多く発生した。ヘルス・カナダによると、発生率は7%で対照群(1.8%)の4倍だった。急性骨髄性白血病や骨髄異形成症候群、固形癌などが多かった。改めて再発治療試験のデータを分析したところ、100人年当りで各3.98と1.38だった。


残念なことだが、血液癌の治療薬は他にも同様な現象が見られるものがある。薬のせいかもしれないし、寿命を延ばすが故に他の癌が進行・表面化する時間を与えてしまうのかもしれない。薬のせいであろうがなかろうが患者や医師にとっては重要な情報なので、ヘルス・カナダは医師に注意喚起したが、全体的には便益がリスクを上回ると判定した。EUの医薬品審査機関と同じだ。FDAは未だ結論を出していないが、おそらく、同じだろう。


リンク:ヘルス・カナダのリリース 


今週は以上です。


[ 2012/05/06 17:02 ] 海外医薬ニュース | TB(0) | CM(0)

メールマガジンの並行刊行について

欧米医薬品ニュースをメールマガジンとして読むことができます。正直、同じ内容のものを二種類のフォーマットで刊行するのは手間ですが、当面はホームページにも掲載する積りです。

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[ 2012/04/30 14:48 ] 臨床試験 | TB(0) | CM(0)

海外医薬ニュース週末版 2012年4月30日号

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【ニュース・ヘッドライン】

  • GSKが二種類の黒色腫用薬を承認申請へ
  • 顎の脂肪を分解する薬の第三相試験が成功
  • FDAがVotrientの適応拡大を承認
  • FDAがヴィーヴァスのED治療薬を承認
  • 武田のDPP-4阻害剤は又も承認見送りに
  • デノスマブを前立腺癌の骨転移予防に使うのは時期尚早
  • アストラゼネカがArdeaと買収で合意

【新薬開発】

GSKが二種類の黒色腫用薬を承認申請へ

グラクソ・スミスクラインは4月25日の決算発表資料の中で、二種類の転移性黒色腫用薬を承認申請する考えであることを明らかにした。

一つはbraf阻害剤GSK2118436(dabrafenib)。BREAK-3試験の結果を検討し、承認申請できると判断した。承認されれば2011年8月に米国で承認されたロシュのZelboraf(vemurafenib)に次ぐbraf阻害剤の第二号となる。

もう一つはMEK阻害剤GSK1120212(trametinib)で、この試験も承認申請できる結果になったようだ。

注目されるのは、この二剤の作用が補完的で、共に経口剤であることからコンビ薬を開発する可能性もあることだ。

Zelborafは高い抗腫瘍作用を持つが癌が遺伝子変異を経て抵抗性を獲得してしまうことがある。MAP/ERKパスウェイだけでなくRAS/RAF/MEK/ERKパスウェイも同時にブロックすれば、作用の持続性を高めることができるかもしれない。

このような期待から、GSKはこの二剤の併用第三相試験を開始する予定。

リンク: 2012年第1四半期決算発表資料(pdfファイル)


顎の脂肪を分解する薬の第三相試験が成功

ロサンジェルスのバイオ企業Kythera Biopharmaceuticalsとバイエルが共同開発している頤(おとがい)下脂肪治療薬、ATX-101の欧州第三相試験が二本とも成功した。詳細は学会発表される予定。

ATX-101は体内に存在する食物脂肪分解物質であるデオキシコロール酸ナトリウムを化学合成したもの。臨床試験では頤の脂肪領域に月一回、最大四回に亘って注射したところ、脂肪スケールや患者満足度スケールが偽薬比有意に改善した。

主な有害事象は疼痛、腫脹、しびれ、挫傷、硬化など、注射部位の軽中度、一時的なものが多かった。実用化されれば頤下脂肪で初の美容治療薬となる。

リンク:両社のプレスリリース


【承認申請・承認】

FDAがVotrientの適応拡大を承認

FDAはGSKのVEGF受容体阻害剤、Votrient(pazopanib)の適応拡大を承認した。2009年の切除不能腎細胞腫に続いて、末期軟組織肉腫の化学療法後アジュバント療法に用いることも可能になった。消化管間質腫瘍と脂肪肉腫は適応外。

臨床試験では無増悪生存期間がメジアン4.6ヶ月と偽薬群の1.6ヶ月を有意に上回った。従来同様に致死例を含む肝毒性が枠付警告されている。

リンク:

FDAのプレスリリース

GSKのプレスリリース


FDAがヴィーヴァスのED治療薬を承認

FDAはヴィーヴァス(NASDAQ: VVUS)が田辺三菱製薬から導入して開発したED治療薬、Stendra(avanafil)錠を承認した。

ファイザーのViagra(sildenafil)、バイエルのLevitra(vardenafil)、イーライリリーのCialis(tadalafil)に次ぐ第4のPED-5阻害剤だ。30分前に服用すれば間に合うので、Viagraと同程度に作用のオンセットが早い。

ヴィーヴァスは導出を検討している模様。Viagraに14年遅れで発売される割には長所が明確ではなく、差別化が難しそうだ。Viagraは7年後、他の薬はその前にGE化しそうなので、Stendraに残された時間は限られている。

リンク:

FDAのプレスリリース 

ヴィーヴァスのプレスリリース 


武田のDPP-4阻害剤は又も承認見送りに

FDAは、武田薬品のDPP-4阻害剤alogliptin(和名ネシーナ)とpioglitazone配合剤の承認を又も見送った。

ネシーナは2010年に日本で承認され、翌年にはpioglitazone配合剤もリオベルとして承認されたが、他の国では未承認である。米国は2007年に承認申請されたが、rosiglitazoneの心筋梗塞リスク騒動の余波を浴びて遅延した。

alogliptin自体に心臓疾患リスクがあるようには見えない。2010年のADA米国糖尿病学会で臨床試験の心血管メタアナリシスが発表されたが、数値上は偽薬群よりリスクが小さかった。但し、該当症例数が少ないために信頼区間は広い。

武田は2011年7月にEXAMINE心血管アウトカム試験の中間解析結果等をFDAに提出した。当時のプレスリリースによるとFDAの安全性要件を満たす内容であったはずだった。

筆者が三年前に行ったシミュレーションでも、もしリスクがADAで発表されたデータ通りならば、EXAMINE試験中間解析とSU剤対照長期投与試験のデータで症例数が充足され、心血管疾患リスクが偽薬比非劣性であることを証明できるはずだった。

日本だけで承認される薬が再び増加し始めた今日では、海外の承認審査機関の評価を精査することが必要だが、残念なことに、情報は限られている。

リンク:

武田薬品のプレスリリース(日本語) 

2010年ADAの抄録(William Whiteら、抄録番号391-PP)


デノスマブを前立腺癌の骨転移予防に使うのは時期尚早

アムジェンは抗RANKL完全ヒト抗体denosumabを骨粗鬆症治療薬Prolia及び癌の骨転移治療薬あるいはホルモン療法誘導性骨粗鬆症治療薬Xgevaとして販売している。米国で骨転移予防の適応拡大申請を行ったが、承認されなかった。

諮問委員会で13人の委員中12人が反対したことを考えれば不思議は無い。去勢療法抵抗性前立腺癌でPSA値が高い患者を組み入れた臨床試験では、主評価項目である骨転移リスク削減効果は確認されたものの、延命効果や無増悪生存期間を延ばす効果は確認されなかった。

懸念されるのは、顎骨壊死が15人に一人という高い頻度で発生したことだ。同剤やビスフォスフォン酸のように骨の新陳代謝を抑制する薬は、抜歯の後のヒーリングも妨げてしまう。

腫瘍学用途では120mgを4週間に一回皮注と高量を投与するので、60mgを半年に一回の骨粗鬆症治療用途よりリスクが高まる。

既に骨転移した患者に対して使う場合は便益が大きいが、未転移は治療をしないリスクが比較的小さい分、便益も小さくなる。このため、諮問委員会は顎骨壊死のリスクを正当化できないと判定した。

Xgevaは日本では第一三共がランマーク名で2012年4月に発売した。

リンク:アムジェンのプレスリリース 


【製薬会社の動き】

アストラゼネカがArdeaと買収で合意

アストラゼネカはArdea Biosciences(Nasdaq: RDEA)と買収で合意した。株主には一株当り32ドル、総額12.6億ドルを現金で支払う。狙いは、第三相段階の尿酸治療薬、RDEA594(lesinurad)だろう。

痛風の原因である高尿酸血症は尿酸の生産過剰や分解・排泄不足によって引き起こされる。典型的な尿酸降下薬であるキサンチンオキシダーゼ(XO)阻害剤は尿酸合成を阻害するメカニズムなので、前者に適しているはずだが、後者にも用いられている。

後者に適した薬が無いからだ。RDEA594はURAT1という、腎臓のトランスポータを阻害することによって尿酸の排泄を促す新しいメカニズムを持っているので、分解・排泄不足型に適している可能性があり、また、併用もできそうだ。

2011年に開始された第三相試験では200mg又は400mgを一日一回、経口投与で、XO阻害剤を服用している患者に追加したり、不耐患者に単剤投与する用法を試験している。2013年から結果が出始める見込み。

アストラゼネカには馴染みの無い分野だろうが、CEOが退任しなければならないほど新薬開発に苦戦しているので、選り好みはできないのだろう。

リンク:両社ののプレスリリース


今週は以上です。

[ 2012/04/30 14:33 ] 臨床試験 | TB(0) | CM(0)

海外医薬ニュース週末版 2012年4月22日号

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       海外医薬ニュース(週末版) 2012年4月23日号    
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             http://medicineblog.blog32.fc2.com/

(リンク先は殆どが英文です。改行で切れてしまう場合があります)

ニュース・ヘッドライン

・C型肝炎治療薬の学会発表
・CHMPが三種類の新薬に肯定的意見
・HGSIがGSKの買収オファーを拒否
・EUとFDAがジレニア/イムセラの警告強化
・FDAがラジレスの警告強化

新薬開発

C型肝炎治療薬の学会発表

ILC(国際肝臓学会)で、複数のC型慢性肝炎用新薬の臨床第二相試験データが発表されている。テラビック(telaprevir、海外ではIncivek名で販売)やVictrelis(boceprevir)と同じプロテアーゼ阻害剤の新薬や、ポリメラーゼ阻害剤、NS5A阻害剤などだ。

C型肝炎の治療はテラビックやVictrelisを用いる三剤併用療法の登場で飛躍的な進歩を遂げた。今後の開発課題は、三剤併用に不応、不耐の患者向けだ。インターフェロン抜きの三剤、四剤併用療法が活発に探索されている。

一例が、BMSのBMS-790052(daclatasvir、NS5A阻害剤)とギリアッド(NASDAQ:GILD)のGS-7977(NS5Bポリメラーゼ阻害剤)の第二相試験だ。両剤を一日一回、24週間に亘って経口投与したところ、投与終了の4週後の奏効率(SVR4)がI型ウイルス感染者(44人)は100%、2型・3型感染者(同44人)は91%だった。この試験ではribavirinを併用する群も設定されたが、効果は大差なかった。

かっての標準療法であったインターフェロンもribavirinも使わずにこれだけの成果が挙がったのは意義がある。尤も、喜ぶのは未だ早い。症例数が少なく、また、追跡期間も短いからだ。治療が成功したと言うためには、投薬完了後24週間経った後でもウイルスが探知不能でなければならないが、インターフェロンを使わないレジメンは完了後の再燃が懸念される。

リンク:BMSのプレスリリース

但し、再燃に対する懸念は緩和しつつある。24週間後奏効率(SVR24)でも良いデータが出始めているからだ。例えば、アボットのABT-450(プロテアーゼ阻害剤)とABT-072(ポリメラーゼ阻害剤)をritonavirやribavirinと併用した小規模な試験では、11人中10人がSVR24を達成した。プロテアーゼ阻害剤は生物学的利用率が低いが、ABT-450はritonavirの3A4阻害作用を利用して一日一回経口投与を実現している。ABT-072も一日一回なので、高い抗ウイルス作用を持つプロテアーゼ阻害剤を簡便に用いることができる。

リンク:アボットのプレスリリース

海外の治験データを見る度に、日本でも開発されているのか心配になる。ILCでは虎ノ門病院などで実施された小規模な第二相試験の結果が発表された。インターフェロンとribavirinの併用に不応、又は不耐・不適なIb型ウイルス感染者に上記のBMS-790052とプロテアーゼ阻害剤BMS-650032(asunaprevir)の二剤併用療法を24週間施行した。その結果、不応患者は21人中19人、不耐不適患者は22人中14人がSVR24を達成した。

リンク:BMSのプレスリリース

第二相段階の新薬で考慮しなければならないのは安全性が十分には確認されていないことだ。今後、症例が増えるにつれて深刻な副作用が顕在化するかもしれない。ILCではノバルティスがスイスのDebio Pharmaからライセンスしたサイクロフィリン阻害剤、Debio 025(alisporivir)の第三相試験がクリニカル・ホールド(治験中断)になったことも公表された。急性膵炎が4例発生し、うち一人が死亡したため、FDAがストップを掛けた。薬との関連性は明確ではなく、この試験で併用されたインターフェロンも膵炎のリスクがあるのだが、前途は楽観できないだろう。

リンク:ビジネスウイークの記事

何れにせよ、これだけ多くの製薬会社がこれだけ多くの新薬を開発しているのだから、前途は明るい。3年後、5年後には様々な併用療法が実用化されるだろう。各社の競争が激化すれば、ウイルス型などに基づいて最適な併用レジメンを選択するテーラーメイド・メディスンも進むだろう。

承認申請・承認

CHMPが三種類の新薬に肯定的意見

EUの医薬品審査機関であるCHMPが4月の会議で三種類の新薬に肯定的意見を出した。順調なら2〜3ヶ月以内に承認されることになる。

Forxiga(dapagliflozin)はBMSがアストラゼネカと共同開発した糖尿病治療薬。SGLT2阻害という新しい作用機序を持つ。SGLT2は、腎臓で血液から濾し取られたグルコースを再び血液中に戻すトランスポーター蛋白で、大阪大学の研究者が同定した。阻害すると、尿と一緒に排泄されるグルコースが増加する。CHMPによると、metforminやSU剤のglipizideと同程度の血糖効果作用を持ち、2年間の試験で作用の持続性を示した。中度以上の腎障害を持つ患者には適さない。

気になるのは治験で一部の癌の発生に偏りがあったことだ。膀胱癌の発生率は0.16%(対照群は0.03%)、乳癌は0.40%(同0.22%)だった。短期間の試験中に癌が発生し発見されるとは考え難いが、FDAが承認しなかったのはこれが原因だろう。このため、BMSとアストラゼネカは市販後に疫学的試験を行い、進行中の心血管アウトカム試験でも癌の発生状況を監視する。

リンク:
CHMPのリリース

BMSのリリース

Jakavi(ruxolitinib)は骨髄線維症の治療薬で、ノバルティスがインサイト(NASDAQ:INCY)から米国以外の開発販売権を取得したもの。JAK1とJAK2という骨髄線維症に関連する酵素を阻害する経口剤。治験では膵臓肥大の改善などの効果が見られた。骨髄線維症は命に係わる血液癌の一種で、EUの有病率は10万人に0.75人、希少疾患指定されている。米国ではインサイトがJakafi名で販売。

リンク:
CHMPのプレスリリース

ノバルティスのプレスリリース

Rienso(ferumoxytol)は慢性腎疾患の鉄欠乏性貧血治療薬で、武田薬品がAMAG(NASDAQ:AMAG)から欧州などの権利を取得したもの。静注。米国では2009年にFeraheme名で承認され、2011年の売上高は5000万ドル余。

リンク:
CHMPのリリース

AMAGのプレスリリース

一方、Allos Therapeutics(NASDAQ:ALTH)が末梢T細胞リンパ腫用薬として承認申請したFolotyn(pralatrexate)は1月に続いて今回の再評価でも否定的意見となった。CHMPの懸念は、臨床試験のデザインが不十分で薬効が十分に確認されていないこと。具体的には、対照群が設定されておらず、奏効率を調べただけで症状改善効果や延命効果が検討されなかった。尚、AllosはSpectrum社が2億ドルで買収することで合意している。

リンク:
CHMPのリリース

Allos社のプレスリリース


製薬会社の動き

HGSIがGSKの買収オファーを拒否

ヒューマン・ジェノム・サイエンス(NASDAQ:HGSI)はグラクソ・スミスクラインの買収オファーを拒否した。一株当り13ドル、総額26億ドルでは過小評価と判断した。米国の上場企業が買収オファーを受けた場合は株主の利益を最優先に考える必要がある。スタンスは企業によって区々だが、HGSIは買収自体を拒否している訳ではなさそうだ。投資銀行などと戦略的選択肢を検討する考えであり、GSKがオファーを引き上げれば受諾する公算がある。

GSKはHGSIと長年の提携関係にあり、全身性エリトマトーデス治療薬Benlysta(belimumab)を共同販売、GLP-1作用剤albiglutideを共同開発している。Benlystaの2011年の売上高は5230万ドルと伸び悩んでおり、HGSIの株価はゲノムブームの2000年の108ドル、Benlystaが承認申請された2010年の32ドルから7ドルまで下落していた。

リンク:
グラクソ・スミスクラインのプレスリリース

HGSIのプレスリリース

医薬品の安全性

EUとFDAがジレニア/イムセラの警告強化

EUと米国の医薬品審査機関が相次いでGilenya(fingolimod、和名ジレニア、イムセラ)の警告を強化した。内容は若干異なるものの、治療を開始する前に心電図、血圧、心拍数を検査し、初回投与後は6時間に亘って一時間毎に血圧・心拍数をモニターし、もし徐脈やAVブロックが発生した場合は一晩監視する。心血管疾患・脳血管疾患歴を持つ患者や不整脈治療薬、心拍数低下薬を服用している患者に用いる場合も、初回投与後は一晩監視する。

Gilenyaはノバルティスが田辺三菱製薬からライセンスして開発した再発寛解型多発性硬化症の維持療法薬で、米国で2010年、日欧でも2011年に承認された。再発リスク削減効果が高く、また、経口投与できる唯一の薬である。臨床試験で血圧低下や心拍数低下が見られたため、初回投与後は6時間観察するという大変珍しい用法が課せられた。昨年12月に米国で治療開始後24時間以内の死亡例が報告されたため、EUの審査機関であるCHMPと米国のFDAが夫々に安全性を再検討した。

CHMPやノバルティスによると、Gilenyaによる治療を受けた患者は累計28,000人。死亡は15例で、死因は突然死、心臓発作、不整脈などだが原因不明もある。多くは心臓疾患歴や心拍影響を持つ薬の同時服用があった。FDAは特に何も発表していない模様だが、ノバルティスがFDAとレーベル変更で合意したと発表した。

リンク:
CHMPのプレスリリース

CHMPの判定に関するノバルティスのプレスリリース

FDAとレーベル変更で合意したことに関するノバルティスのプレスリリース


FDAがラジレスの警告強化

FDAはTekturna(aliskiren、和名ラジレス)の警告を強化した。糖尿病又は中高度腎障害を持つ患者について、ACE阻害剤やARBを併用禁忌とする。ALTITUDE試験で腎障害や低血圧、高カリウム血症のリスクが見られたため。米国ではvalsartan配合剤が承認されているが、ノバルティスは自主的に販売中止を決めた。

FDAによるとaliskirenは2011年に45万人の患者に処方されたが、このうち22%がACE阻害剤又はARB、且つ二型糖尿病薬を同時服用していた。この分の需要が喪失することになる。ALTITUDE試験では心血管疾患による死亡や脳卒中ややや増加したが、FDAは、薬との関連性に関する結論はまだ出ていない、と述べている。

レニン・アンジオテンシン系をブロックする降圧剤の併用は、腎障害の悪化を強力に抑制することができると考えられていた。しかし、ACE阻害剤とARBの併用も、アウトカム試験で効果が見られず、副作用が増えるだけだった。

ノバルティスと言えば、日本で実施されたディオバン(valsartan)のアウトカム試験に疑義を唱える投稿がLancet誌に刊行された。私もKyoto Heart Studyの結果が発表された当時、よく分からない点を書いたことがある。今週は同社にネガティブな報道が続いた。

リンク:
FDAのプレスリリース

ノバルティスのプレスリリース

Medicine-Blog valsartanは京都で誰を倒したのか?

今週は以上です。
[ 2012/04/22 19:17 ] 海外医薬ニュース | TB(0) | CM(0)
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